CANDLE/中條−西村症候群/JASL/JMP  


版 2016
diagnosis
treatment
causes
Chronic Atypical Neutrophilic Dermatosis with Lipodystrophy and Elevated Temperature (CANDLE)
CANDLE/中條−西村症候群/JASL/JMP
稀な遺伝性の病気であり、文献によっては中條-西村症候群、JASL、またはJMPなどとも記載されています。罹患した子どもは、繰り返す発熱発作、数日から数週間持続しその後紫斑病変を残して治癒する皮疹、筋萎縮、進行性脂肪萎縮、関節痛、関節拘縮を症状として持ちます。無治療の場合は重度の機能障害を来たし、死に至ることもあります。 1
evidence-based
consensus opinion
2016
PRINTO PReS
1. CANDLE/中條−西村症候群/JASL/JMPとはどんな病気ですか?
2.診断と治療
3.日常生活



1. CANDLE/中條−西村症候群/JASL/JMPとはどんな病気ですか?

1.1どのような病気ですか?
稀な遺伝性の病気であり、文献によっては中條-西村症候群、JASL、またはJMPなどとも記載されています。罹患した子どもは、繰り返す発熱発作、数日から数週間持続しその後紫斑病変を残して治癒する皮疹、筋萎縮、進行性脂肪萎縮、関節痛、関節拘縮を症状として持ちます。無治療の場合は重度の機能障害を来たし、死に至ることもあります。

1.2患者の数はどのぐらいですか?
稀な病気であり、文献においておよそ60人の患者が報告されています。しかし実際には診断されていない患者が存在すると考えられています。

1.3遺伝しますか?
常染色体劣性遺伝形式により遺伝します(性別に関係がなく、両親にはこの病気の症状はありません)。この遺伝形式の場合、CANDLE症候群を発症するためには二つの疾患関連変異を持ち、一つは母親から、もう一つは父親から受け継いでいます。したがって両親とも保因者(一つだけの疾患関連変異をもち、病気を発症しない)であり、患者ではありません。CANDLE症候群の子どもを持つ両親の次の子どもがCANDLE症候群を発症する可能性は25%で、出生前診断をすることが可能です。

1.4なぜ私の子どもはこの病気にかかったのでしょうか?防ぐ方法はないのでしょうか?
お子さんはCANDLE症候群の原因となる変異遺伝子をもって生まれたので発症しました。

1.5他人へ伝染しますか?
伝染しません。

1.6どういう症状が出ますか?
生後2週間から半年の間に発症します。小児期の症状としては、繰り返す発熱、数日から数週間続く輪状発赤疹に引き続き紫斑病変が残存する発作、を認めます。また特徴的な顔面所見として、紫色の眼瞼腫脹や厚い唇を認めます。
すべての患者で、末梢の脂肪萎縮(主に顔面や上肢)が乳児期後期より認められ、持続します。また様々な程度の成長障害をしばしば認めます。
関節炎のない関節痛をほとんどの患者に認め、時間ともに著しい関節拘縮が進行します。その他の頻度の低い症状として結膜炎、結節性上強膜炎、耳または鼻の軟骨炎や無菌性髄膜炎発作があります。脂肪萎縮は進行性であり、不可逆的です。

1.7 合併症としてどのようなものがありますか?
CANDLEを発症した乳幼児は、進行性の肝腫大や進行性の末梢脂肪及び筋量の減少を認めます。他の合併症として心拡大、不整脈、関節拘縮を後に認めます。

1.8 症状はどの子でも同じですか?
発症したすべての子どもさんの健康状態はあまり思わしくないようですが、子どもさんによって症状は異なります。同じ家族内の患者ですら、同じ程度で状態が悪いとは限りません。

1.9この病気は小児と成人で違いはありますか?
進行性の病気であるということから、その臨床像は小児と成人とでは部分的に異なることがあります。小児の患者は発熱発作、成長障害、特徴的な顔貌や皮膚症状が主な症状です。筋萎縮、関節拘縮、末梢の脂肪萎縮は主に乳児期後期から成人にかけて見られます。また成人では不整脈(心臓のリズム不整)や心筋の拡張が見られることがあります。


2.診断と治療

2.1どのように診断しますか?
患者の病像をもとにCANDLE症候群を疑うことから始まります。遺伝子検査によってのみ診断が確定できます。両親それぞれから1つずつ、2つの疾患関連変異を患者に同定できれば診断は確定します。遺伝子検査はすべての専門施設で実施可能とはかぎりません。

2.2検査で重要なものは何ですか?
赤沈、CRP、血算、フィブリノゲンなどの血液検査が病気の活動期に炎症の程度や貧血を評価するために行われます。また肝障害の評価のために肝酵素の測定も行われます。
検査結果が正常化しているかを評価するため、これらの検査は繰り返し行われます。遺伝子検査のためには、少量の血液が必要です。

2.3治療法や根治療法はありますか?
遺伝性の病気であるため根治療法はありません。

2.4治療としてどのようなものがありますか?
効果的な治療法はまだ存在しません。高用量のステロイド(プレドニン換算1-2mg/kg/日)により皮疹、発熱、関節痛が改善しますが減量するとこれらの症状はしばしば再燃します。TNF阻害剤は一時的な効果の見られる患者もいる一方で、かえって発作を誘発したとされる患者もいます。トシリズマブ の有効性は非常に限定的とされています。現在JAK-キナーゼ阻害剤(tofacitinib)が海外で試されています。

2.5薬物療法の副作用にはどんなものがありますか?
ステロイドの副作用として体重増加、満月様顔貌、精神症状などが見られます。長期にステロイドが投与された場合は成長障害、骨粗鬆症、高血圧や糖尿病を発症することがあります。
TNF-α阻害剤は近年開発された薬です。TNF阻害剤の使用により感染症、結核の活性化、神経疾患や他の免疫疾患を発症する可能性があります。また現時点では悪性腫瘍発生のリスクを上げると証明したデータはありませんが、その可能性が議論されています。

2.5治療期間はどのくらいになりますか?
生涯治療する必要があります。

2.7代替治療、補完療法はありますか?
代替治療、補完療法のエビデンスはありません。

2.8どのような定期的な受診・検査が必要ですか?
小児リウマチ専門医による少なくとも年に3回以上の定期的な診察を受け、病気の管理状況の評価と治療の調整を行うべきです。また少なくとも年に2回の血液検査と尿検査を行うべきです。

2.9病気はどのくらい続きますか?
病気は生涯にわたります。しかし、病勢は変動します。

2.10長期的予後(予想される結果や経過)はどのようなものですか?
生命予後に影響を与える可能性があり、多臓器の炎症がしばしば死亡原因となります。。また患者の生活の質(QOL)は、活動性の低下、発熱、疼痛、重篤な炎症発作の繰り返しに左右されます。

2.11完全に治る可能性はありますか?
遺伝性の病気なので完治はありません。


3.日常生活

3.1病気のために子どもと家族の日常生活にはどういう影響がありますか?
診断される前から、患者や家族は大きな問題に直面します。
患者によっては骨変形により日常の活動に大きく支障を来します。アナキンラという薬剤による治療を行う場合は、毎日の注射による苦痛だけでなく、薬剤の適正な保存のため旅行が出来なくなることがあります。
生涯の治療が必要であるということは精神的な負担にも繋がります。患者および家族への教育プログラムはこの問題にも取り組みます。

3.2学校についてはいかがですか?
慢性疾患の子どもにとって教育を受け続ける事は大変重要です。学校の出席に問題が生じるような要素が少しありますので、子どもに対してどのような配慮が必要であるかを教師に説明することが重要です。子どもが学業面で遅れないようにするだけでなく、大人や同級生たちに受け入れられ、認められるために、両親と教師は子どもが学校の活動に普通に参加出来るように可能な事はすべて行う必要があります。将来的に職業人として社会に出る事は若い患者にとって重要な事であり、それこそが国際的な慢性疾患患者支援の目標の一つです。

3.3スポーツはできますか?
どんな子どもにとっても運動をすることは毎日の生活にとても重要です。治療の目標の一つは、病気の子どもたちにできるだけ普通の生活を送らせ、自分は友達と何も変わらない、と思わせてあげることです。すべての運動は、できるかぎりやらせてあげます。しかし、急性期には運動の制限と安静が必要になることもあります。

3.4食事についてはいかがですか?
特に注意点はありません。

3.5天候は病気の経過に影響しますか?
天候は病気の経過に影響しないと考えられています。

3.6予防接種を受けることができますか?
はい、この病気の子どもはワクチンを打てます。しかし弱毒化生ワクチンを打つ前には主治医に知らせましょう。

3.7 性生活、妊娠、避妊についてはいかがですか?
現時点でこれらの事柄について役に立つ文献的情報はありません。一般的には、他の自己炎症性疾患と同様、生物製剤が胎児に及ぼす影響の可能性を考慮し、予め治療法の選択をおこなえる計画的な妊娠を考慮したほうがよいとされています。


 
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